ウェルシュ・コーギーは2種類

ウェルシュ・コーギーには、“ウェルシュ・コーギー・ペンブローク”と“ウェルシュ・コーギー・カーディガン”の2種類がいます。
起源はそれぞれ違う種類のイヌですが、19世紀にさかんに交配されていたことから非常によく似た外観をしています。
牧羊犬として飼われていたこのイヌは、家畜の足元を素早く駆け抜けられるよう胴長短足に改良されました。
日本犬にも似たきりっとした顔立ちと、ふさふさとした被毛、キツネのようにピンと立った耳などが特徴的です。
2犬種の違いは、カーディガンの方が骨格が太くがっちりとしていて、ふさふさとした尻尾があることです。
ペンブロークには尾がほとんどなく、あってもその短い尾を生後1週間以内に断尾します。もともとは家畜に尻尾を踏まれないために、牧羊犬として働くイヌの尻尾を裁ち落としていたのですが、現在ではスタンダード(犬種標準)に準じるために行なわれています。
一部の専門家の間では、もはや断尾の必要性はないという意見もありますが、尻尾のないお尻で感情を表現するペンブロークのしぐさに魅力を感じる人も多いことでしょう。

最近まで同じ犬種だったウェルシュ・コーギー

ペンブロークとカーディガンは非常によく似たイヌであるため、近年までこの2犬種は1つの“ウェルシュ・コーギー”として扱われていました。
1943年にイギリスのケンネルクラブが、ウェールズのペンブロークシャーを起源とするイヌを“ウェルシュ・コーギー・ペンブローク”、同じくウェールズのカーディガンシャーを起源とするイヌを“ウェルシュ・コーギー・カーディガン”として、別々の品種として分けました。
アメリカのケンネルクラブに別々の犬種として登録されたのはつい最近、1993年のことです。
この2犬種の起源はそれぞれ違い、ペンブロークに比べカーディガンの方がずっと古い犬種であることがわかっています。

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ウェルシュコーギー・ペンブロークの歴史

ペンブロークの歴史は1107年までさかのぼることができます。
当時のイギリス国王・ヘンリー1世の招きを受けたフラマン人の職工が、チャンネル諸島から海を渡り、ウェールズのペンブロークシャーに移り住んで来たときに連れて来たイヌだといわれています。
フラマン人の主な仕事は織物でしたが、農耕にも長けていた彼らはウェールズの南西端に移り住んで農場を築き、ペンブロークをハーディング・ドッグとして使っていました。
そのイヌがウェールズ地方に元々いたキャトルドッグと交わって、スピッツの持つ立った耳や尖った鼻を受け継いで現在の形になったと考えられています。
また一説には、ペンブロークとスウェーディッシュ・ヴァルフントの間には多くの共通点があることから、10世紀頃、北欧の海賊が何らかの理由でウェールズ地方に残して行ったイヌが、ペンブロークの起源だという説もあります。

ウェルシュ・コーギー・カーディガンの歴史

カーディガンの歴史はペンブロークに比べずっと古く、紀元前1200年頃までさかのぼります。
当時、中央ヨーロッパからウェールズ地方にやって来たケルト民族が連れて来たイヌだといわれており、カーディガンシャーで現在の形に改良されました。
カーディガンはもともとダックスフンド系から発展して現在の形になったと考えられていますが、はっきりした起源はわかっていません。
その後は、ウェールズ地方のカーディガンシャー丘陵地帯に住む人々がひっそりと飼っていたことから、その存在は長い間知られていませんでした。
起源の違うこの2犬種がよく似ているのは、19世紀中頃まで盛んに交配されたことによります。両犬種とも同じウェールズ地方で飼育されていたことも理由の一つでしょう。
ドッグショーで注目を浴びるようになっても交配は続いていましたが、前述の通り今では別々の犬種として確立されています。

イギリス王室に愛されるコーギー

ウェルシュ・コーギーといえば、やはりイギリス王室の存在は欠かせません。コーギーはロイヤルファミリーに愛されてきた歴史があります。それが世界中にコーギーが知れ渡るきっかけにもなりました。
12世紀初め頃、イギリス国王・ヘンリー2世がペンブロークをペットとして飼い始めてから、コーギーは“王室のイヌ”としての座を確立しました。
長い間その存在が知られていなかったカーディガンも、1933年、ヨーク公爵(後のジョージ6世)がペットとして飼い始めたことから広く世間に知れ渡るようになります。
そのヨーク公爵は娘(現在のエリザベス女王2世)の遊び相手にペンブロークを与えたことから、現在でもエリザベス女王はペンブロークを愛犬として大切にしています。
その息子である皇太子は「プリンス・オブ・ウェールズ」の称号を名乗り、ウェールズ産のペンブロークとは浅からぬ縁があるともいえます。

ウェルシュ・コーギー